2010年12月19日日曜日

師走の窓①

《1979年12月19日(水)》
世間は、まちがいなく師走で、薄らいだ実感と言っても、やはり12月である。
窓の外を見ると、なんとなく忙しげな往来ではある。
昨年も似たような感慨で、綴っていたと思う。
自動車がMUSEの前で、側倒立したのも、よく憶えている。110番したのは、ぼくで少し慌てていた。一緒に目撃したのは、Moさんであった。野次馬のようにして、石塚さんが現れた。人前ですってんころりん転んで、あわてて周囲を見ながら立ち上がる仕種と酷似していて、事故車の壊れた扉から、運転していた男は、さも元気そうに躍りでて、弁明するように、まくし立てた。フロントグラスは飛び散り、その派手さとは異なり、ピンピンしてて何でもないかのようであった。救急車は空しく去り、パトカーの警察官と、運転者の対話がしばし続いた。
ぼくも、Moさんも、石塚さんも、当分この話をして、MUSEを訪れる人たちと、何度か楽しんでいた。
不真面目な言い方だが、その事故はMUSEにとって平和の象徴だったのである。その頃と比べると叱責を買うようだが、事件のない分だけ、穏やかさの真実味に欠けている気がするのである。 ・・・(つづく)

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