2012年2月19日日曜日

miyuki

《1981年2月17日(火)》                                              最近いちばん気に入ったのは、あだち充の「みゆき」だ。先日単行本を借りた。だいたい青春恋愛ものは多いし、そのシチュエーションも進展具合も、古来踏襲された域を出ない。その温もり様が、受ける要素であるかも知れぬが・・・。食わず嫌いで、未知のものには言を及ばせないのは致し方ないが、想像を広げても「みゆき」の良さというのは、稀有である。
まず、スピード感を伴わない舞台装置的描写力の確かさだ。それに輪をかけた如くの、ゆっくりした話の進み方。吹き出しと、自問自答・白に選び出される言葉の生命力に、読者の自由な遊びを要求している。あすなひろし・ほどの戯れ方も少ないし、色気の持ち出し方も素直だ。
詩情のありさまを感じるのである。何故、感じられるかと言うと、いくら可愛い顔に描かれていても、所詮漫画ではある。しかし、可愛さ以上のものを性格づけようとすると、ストーリーの多面性から描きこんでいかなければならない。ストーリー重点のあまり(それが売れる要素である)、主人公の行動が特別な性能を帯びて、所謂漫画になってしまう。自分のひいきの主人公やその相手のシリアス度に、演劇性がデフォルメされ加味されていくのが判る筈だ。漫画の可能性は、マンガとして逸脱していくことなのではなかろうか。
「みゆき」に関して言えば、絵を追っていくだけで、そして戻ったりするだけで、詩を感じるのだけれど。ミーハーかな?

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